さっき無造作にポケットにいれた携帯
まただ、この時間になると特に用事もないのに、必ず呼ばれる訳よね。アプリいじっていたのに・・。しかも、目が離せないという時に限って声がかかる。
「はぁ~い」と気のない返事をし、姑の部屋に行ってみると「お仏壇のお花、お水換えてくれた?」「昨日、換えましたわ。お義母さま」
もう、毎日せずともいいよ、そんなもん!「あら、いまの季節は毎日よ」おっと、心の中で叫んだことが聞こえたか?
仕方がないから花瓶を持った時、さっき無造作にポケットにいれた携帯が落ちた。
「あらっ、何かしていたの」どうぜ分からないだろうけど「FXアプリいじってたんです!」「それで、外貨証拠金取引ができるの?」
「あらっ、ご存知ですか?」「その位、分からずにどうするんです」
「今は便利ね」と言い、画面をしげしげと見つめる。ちょっと見直した。堅物じゃなかったんだね。
「そこにおじいさんが、私にナイショで貯め込んでいるへそくりがあるから。それあなたに投資するわ。
介護資金が出来るまで、増やしてちょうだい。いい?」「はい、お任せください。」がんばらなくっちゃ!